こんにちはmarupoです
妄想性パーソナリティ障害とは、人格障害のひとつで、他人や周囲に対して十分な根拠がないにもかかわらず「自分のことを騙そうとしている」と疑ったり、「何か自分をおとしめようとしている」など、そのような不信感や疑念を病的に疑って人を信用することができない障害です。
またこれは「猜疑性(さいぎせい)パーソナリティ障害」とも呼ばれます。また、なんの根拠も明確な理由もないのに「この人に嫌われている」など思い込んだり、「拒絶された」などと思い込んだり、誰かを激しく疑ったり妬んだりするのも特徴です。
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自分の過去に人に裏切られた、信じていた人に騙されたなどの経験は生きていれば多少誰にでもあるものです。
もちろんそんな経験をすると、簡単には人を信用できなくなってしまうこともあります。
また、このような経験をした場合、「これからは簡単に人を信じるのは気をつけよう」と思いはするものの、だからといって全ての人がそんな悪い人ばかりではないと知っています。
なので、この人ちょっと怪しいかな…?という人が現れた時「この人は信用できないかも…」と、疑いながら探りをいれてみると、逆にまったくいい人だったりするときもあります。
しかし妄想性パーソナリティ障害の人は、そのような過去の経験をすべて捻じ曲げて悪く捉え、そして何もない人に対しても根拠もなく疑うのです。
一度自分がそんな経験をしてしまうと、「他人は自分に危害を加える」「他人は自分を利用する」と信じ込み、自分の周りにいる人を疑ってかかり、誰に対しても攻撃的な態度で接するのも特徴です。
そしてこのような傾向の人は、意外と職場や身近にいたりすることもあります。
ではそんな人の言動や特徴とはどんなものなのかみてみましょう。
妄想性パーソナリティ障害の特徴 |
①こちら側のなんでもない言葉に対して、何か悪意があると「裏を読む」
たとえば仕事などで「これもうすぐ終わりそう?」と、ただ何気なく声をかけたとします。
するといきなり「もうすぐ終わりますが、なんかバカにしてるんですか」など攻撃的な態度で返してきたりします。
このように、こちら側の悪意のない言葉に対しても「けなした」「脅している」などと悪く捉え、そんな意味が隠されていると思い込むため、攻撃的な態度で返します。
②自分の許せない過去や人に対して「恨みを抱き続ける」
過去に誰かに「侮辱された」ことや「傷つけられた」などということに対して許すことができず、ずっと恨み続けています。
また誰かに「軽蔑された」など思い込んだ場合も、その相手を許しません。
このように過度にプライドが高く、自分を侮辱されたことに対して相手を許すことができません。
③パートナーに対して「自分の妄想」から異常な嫉妬心や疑いをもつ
パートナーが何も疑うようなことをしていないにもかかわらず、連絡が取れないときなど、相手が何か信用できないことをしているかもしれないという「妄想」をしては疑い勝手に嫉妬し、そして不安を抱きその不安から相手を攻撃します。
その「妄想」から一方的に相手は浮気をしてるんじゃないか、自分は傷つけられるのではないかと思い込みます。
そして「あの時間は何してたの!」などと怒り、問い詰めたり、また相手の前でひどく落ち込んだりします。
パートナーに対してどんなに好きな気持ちがあっても、信用することができないため、たとえどんなに相手が誠実でもまた同じことを繰り返します。
そしてその妄想が激しくなったり症状がひどくなると、ストーカーのような行動をとる場合もあります。
④人を信用できず攻撃する「トラブルメーカー」
パートナーに対してだけではなく、友人や仕事仲間などに対しても「自分を大事に思ってない」「何か自分のことを悪く言ってるかもしれない」と疑います。
そしてどんなに相手にそんな気持ちがなくても何かで勝手に思い込み憤慨したり、またそうなった場合相手を敵だと思い込み、自分もそのように反応したり逆襲したり攻撃します。
なので人間関係ではトラブルがたえません。そしていつも誰かともめてるトラブルメーカーです。
ではこのような障害をもつ相手に対して、こちらはどう対応していくことがよいのでしょうか。
どう対応すべきか |
まず、このような障害をもつ人は、どうしても一方的に疑ってきたり、不信感をもったりなどという捉え方をしてしまうため、話し合いや対処法などは難しいところがあります。
どんなにこちら側が好意で手伝ったとしても、何か褒めたとしても「バカにされた」と思い込んでしまったり、傷つけられたなどという感情をもってしまう傾向にあります。
このように悪い方へ妄想したり、それによって人を疑ったり歪んで悪く捉えてしまうのは、その本人の不安や恐怖心からきています。
それは幼少期に、厳しい罰を与えるような支配的な親に育てられたということが原因のひとつにあります。
それによって「愛されている」という実感を失い、自分の自由な思いに対して「そんなことをしてはいけない」などという思い込みがうまれ、その不安や恐怖から自分の行動を枠にはめてしまっているのです。
なのでこのような場合は、できるだけ早く専門の病院で治療をするのが一番良いのですが、当の本人はその病院の先生の言葉も疑ってしまい、最悪には攻撃してしまうかもしれません。
そしてこの妄想性パーソナリティ障害は、考え方も極端であるため、本人にとっては不安や不信感などではなく「そうに違いない」という捉え方なのです。
なので周囲はそんな相手の攻撃や態度にできるだけひるまず、一貫性をもって対応することがよいでしょう。
またこのような障害を理解し、甘やかしたり突き放したりしないことも大切です。
まとめ |
この妄想性パーソナリティ障害は、「猜疑性(さいぎせい)パーソナリティ障害」とも呼ばれ、なんの根拠も明確な理由もないのに誰かを激しく疑ったり妬んだりするのが特徴です。
また、過去の経験をすべて捻じ曲げて悪く捉え、そして何もない人に対してもそれによって根拠もなく疑うのです。
そして人から「騙された」と感じると、落ち込んでくよくよ考え込んだり、攻撃的になったりします。
なので周囲はこの障害を理解し、甘やかしたり突き放したりせず、またそんな相手の攻撃や態度にできるだけひるまずに一貫性をもって対応することがよいでしょう。
そして一番大事なことは、どんなに人を信用できず疑い深くても、たとえトラブルメーカーであったとしても、もっとも苦しんでいるのはその本人だと理解しておくことが大切なことであるでしょう。
お読みくださりありがとうございました以上marupoでした
パーソナリティ障害の診断と治療
本書は、精神分析的な診断の考え方の基本を示すとともに、パーソナリティ構造についての精神分析的概念を肯定的に説明し、診断の定式化をうまく行うことが臨床的にいかに有用であるかを示そうとする。
ソーシャルワークと心理学を学ぶ学生、精神科の医師、看護師、カウンセラー、精神分析の訓練生に。