テーマ
ロジャース来談者中心療法を学ぼう
3つの基本態度
心の問題の捉え方
共感的理解のための6つのテクニック
4つのかかわり技法 ~クライアントとの接し方~
まとめ
こんにちはmarupoです
今回はカウンセラーになるために、ぜひ知っててほしい基本をご紹介いたします。一つは「来談者中心療法(クライアント中心療法)」そしてもう一つは「傾聴」です。これを深掘りしてお話ししたいと思います。
こちらはカール・ロジャース率いる共同研究者たちによって提唱された心理療法です。
まず、来談者中心療法とは簡単に説明すると、カウンセリングに来談したクライアントの勇気を認め共感的・受容的に受け入れるというものです。
それはクライアントの話を徹底して聴くこと。そうすることにより相手の無意識の未知の部分を意識レベルに上げていく療法です。
その来談者中心療法には基本的な3つの態度があります。
●来談者中心療法の3つの態度● ①無条件の肯定的配慮(受容) ②共感的理解 ③自己一致 |
来談者中心療法3つの基本態度
① 無条件の肯定的配慮(受容)
クライアントに対して何の評価や診断もせず、どんな状態でもクライアントの今あるがままの状態に関心を持つこと。
話の内容が、たとえしっくりこなくても、カウンセラー側の個人的な見解は一時的にも棚の上へ置いて、クライアントの話を聞くという姿勢です。
②共感的理解(分かち合い)
カウンセラーがクライアントの立場になって理解していくこと。
クライアントの「今ここ」での話をあたかも自分のことのように感じ理解する。同時に理解したクライアントの世界観を、あくまでクライアントのものとして明確に伝え共に分かち合うこと。
この共感的理解を心掛ける時に重要なのは、カウンセラーはクライアントと同じ状況に立つのではない、ということです。
要はカウンセラーは「自分がクライアントと同じ立場だったら、自分はどういう風に感じるだろう…」と親身になって考えることが重要です。
③自己一致
自分の感情や言動など、自分についてちゃんと自覚できているということです。首尾一貫として裏表がない状態で自分自身についてきちんと理解できていることを示します。

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心の問題の捉え方
ロジャースは人の心理的問題の背景には「理想の自己」と「現実の自己」の乖離によって生じていると考えました。
「理想の自己」 | 「現実の自己」 |
・お金持ち ・幸せな生活 ・皆から好かれている |
・お金がない ・不幸である ・独りぼっち |
人が心理的な問題を抱える時、この2つの相反する状態が心の中に存在し、理想の自己に近づけないことが、そのような問題につながるとロジャースは考えました。
クライアントは「自分は本当は素敵な人生を生きるはずだったのに…現実の自分はみじめ…」という、理想は素敵である自分がいるのに、現実は今のみじめな自分、ということを受け入れることができず認められないために、心の中で乖離してしまうのです。

理想と現実が一致していないと自分の心は苦しくなる
共感的理解のための6つのテクニック
●共感的理解のための6つのテクニック● ①沈黙 ②あいづち ③繰り返し ④ドア・オープナーの言葉かけ ⑤要約 ⑥気持ちを汲む |
☆共感的理解6つのテクニックの解説☆
①沈黙…相手の話をこちら側は黙って聴くこと。クライアントを洞察し見守るために使う。また、クライアントが黙っていても、そのことで何を伝えようとしているのか、カウンセラーは見守りながら理解しようとする姿勢が重要となります。
②あいづち…話をしている中で「あなたの話に関心を持ってしっかりと受け止めています」ということを全身で反射表現することを言います。
③繰り返し…クライアントが語ったことや言った言葉、または表現をこちら側が繰り返すこと。特に相手の気持ちや考え方、価値観などが表れている言葉を選んで、それを相手に繰り返して伝えることです。
④ドア・オープナーの言葉がけ…クライアントが表面的な話に終始しているとき、カウンセラーが問いかけをすることで相手の思いを促し、心の扉を開けるきっかけを作っていくことです。
例えば「~はどんな気持ちですか?」「~のことをもう少し詳しく聞かせてください」「~のとき、どんなことを考えましたか?」「~はあなたにとって大切なことなんですね」など。
⑤要約…クライアントの話をセンテンスでまとめて返すこと。クライアントの言わんとすることを評価や解釈もつけず、まるで鏡に映すかのように返すこと。そうすることによりクライアントは相手が自分のことを理解していると安心し、それによって さらに自己洞察が進んでいきます。
⑥気持ちを汲む…カウンセラーはクライアントに対して問題を解決しようとするのではなく、気持ちをわかろうとする言動が大切です。人間は人から自分の気持ちをわかってもらえてること、自分を理解されているということが最も安心できることなのです。
以上の6点ですが、①②はカウンセラーの「受け」の態度。③④⑤⑥は「返し」の作業の技法です。

カウンセラーは「受け」と「返し」の技術を訓練しよう
4つのかかわり技法
●クライアントとの接し方● ①クライアントと視線を合わせる ②声の調子に気を付ける ③身体言語に着目する ④言語的追及 |

ではこの4つの技法の説明です
☆クライアントとの4つの接し方☆
①クライアントと視線を合わせる…相手をジーッと見つめるというよりは、相手の上半身全体を見守るという感じの姿勢で、カウンセラーは クライアントの状態に合わせながら関心を持つことをいいます。
②声の調子に気を付ける…同じ言葉でも声の調子によっては気持ちの濃淡や、ものの見方言葉以上に表現されることがあります。 カウンセラーは その調子に合わせて関わっていく必要があります。
③身体言語に着目する…言葉以外の表現をいいます。相手のジェスチャーや表情、雰囲気などを見逃さないことが大切です。
④言語的追及…先ほどの 共感的理解のための 6つのテクニックの技法を繰り返しながら、クライアントに興味を持って積極的に「傾聴」することをいいます。

メラビアンの法則
人が人に何かを伝えようとしている時、 何を重視して理解しているか(メラビアンの法則より)
●言語(話の内容)…7%●視覚(ジェスチャー・表現)…55%●聴覚(声の調子)…38%
まとめ
以上の「3つの基本態度」「共感的理解のための6つのテクニック」「4つのかかわり技法」をマスターすれば「傾聴」のできる素晴らしいカウンセラーということになります。今回のことをまとめるとこうなります。
☆こんな人が傾聴のできる人☆
①黙って落ち着いてじっくりと話を聞いてくれる人
②気持ちよくあいづちを打って寄り添うようにうなずいてくれる人
③言いたいことを正確に理解してくれる人
④気持ちや思いをわかってくれる人
⑤自分の存在自体に興味を持って大切に接してくれる人
⑥どんな状態の自分でも評価せずに同じ目線で受け入れてくれる人
カウンセリングの仕事とは、何もしないということを一生懸命にすることです。
そして来談者中心療法とは「共感」「傾聴」です。
カウンセラーはクライアントに対して「自分自身の思いや気持ちを理解してそれをいったん取り出し」⇒⇒「相手の枠組みに身を置いて」⇒⇒「相手の世界観をありのまま感じ理解する」ことが大切です。
これを積極的傾聴といいます。まずは徹底的に相手の話を聴くことに徹すること。ひたすら「聴く」という忍耐力を身に付けていくことが大事なのです。
お読みくださりありがとうございました以上marupoでした