こんにちはmarupoです
人は、ショックな出来事に遭遇し、それがあまりにもひどかった場合など、心に大きな負担がかかってしまいます。
なのでその記憶を無意識の世界に閉じ込める習性があるのです。
なぜなら、そうやってしまい込まないと苦痛で耐えられなくなるからです。
人間は、そのとき忘れた方がよいこと、嫌なことなどを、勝手に自分の無意識の箱の中に閉じ込めます。
もし、その無意識の箱に閉じ込めることができなかったら、そのショックやつらい出来事がいつも頭から離れない状態となり、日常にも負担がかかってしまい、生活がうまくいかなくなってしまうのです。
ただ、気をつけないといけないことがあります。
その無意識の箱の中に勝手にしまい込まれたものは、勝手に出てしまう危険性があるのです。
それは、必要ない時によみがえったりして、逆に人を苦しめたりするのです。
「防衛機制」という安全装置 |
人は、つらい出来事やショックなことが事が起こったとき、その苦しさや混乱を落ち着かせるために、「防衛機制」という安全装置をつかいます。
すると、分裂して壊れそうだった心が、一時的に守れるのです。
このおかげで感情的にならずにすみ、世の中に適応することができるといえるのです。
しかし一方で、その無意識の箱の中に一時的に入ったままの、心の自由を奪うもの(苦しみ・悲しみなど)が、そこにずっと装置がかかったままだと、次第にその安全は保てなくなってしまいます。
それはときに、じわじわとあふれだし、やがてこころの病の原因にもなってくるのです。
防衛機制の種類と働き |
ではここで、防衛機制の種類やその働きをみてみましょう。
①【避けようとする働き】
隔離…(別物として分ける)受け入れられないようなできごとに対して、知覚と感情の間に距離を置いて分ける。感情の麻痺。
否認…(見えてるけど認めない)その事実を認めたくないという思考、自我が働き分裂状態になる。見ないふりをすること。
抑圧…(見えないところに押し込む)無意識に押し込み、無理やり忘れようとする。何かの折にふれて感情や思考、イメージだけがよみがえる。 |
②【別のものに置き換える】
置き換え…(人にあたる)自分自身では受け入れられない感情、思考、欲求を実際にそれを受けた対象にではなく、別の対象にぶつけたりすること。「八つ当たり」「身代わり」「いじめ」もこれにあたる。
こうすることで、もとの対象から受けた感情を解消したり、攻撃を防ごうとする。
代償…(ものにあたる)置き換えと同じだが「八つ当たり」や「身代わり」の対象が人ではなく「もの」になる。
知性化…(知識に置き換える)自分自身の中で受け入れられない出来事、それを受けた対象に直接表現したり解放するものではなく、取り入れた知識で理屈づけ、知性の働きによってコントロールする。思考による割り切り。
合理化…(都合のいい理屈に置き換える)正当化したり、他に責任転換して合理化しようとする。
合理化が繰り返される場合には「抑圧」された「自己嫌悪」「自己不信」があり、それを受け入れられない葛藤の中で、現実を無理やり変えようとする働きがある。言い訳・弁解などともいう。
昇華…世の中に評価される形に置き換える。 |
③【逆転させる】
反動形成…(真逆の表現をする)本来のものとは逆の傾向を表す。なので表現される思考、言動は不自然であったり強迫的になりがち。
打消し…(真逆の結果をもってくる)最後だけそれまでのものを帳消しにするような結論をもってくる。「終わり良ければ総て良し」といった感じ。
投影…(発生源が逆転する)自分自身が抑圧している感情・思考・欲求をほかの人が持っているかのように感じること。
自分の影に怯えたり、また自分が勝手に嫌悪感を抱いているのに、まるで相手が自分を脅したり嫌ったりしているように錯覚する。 |
④【取り入れる】
取り入れ…(人の一部を取り入れる)自分にとって重要な人物の一部を真似して、その人と同じように振る舞い、その人を自分の中に完全に取り込もうとすること。
自分の本当の感情や思考を認めると、現実的に抵抗や攻撃がある場合、その一部と一緒になって身を守ろうとする。
親の願望や価値観がそのまま自分のものと同じであると思い込むのも取り入れである。
同一視…(人のすべてを取り入れる)成長過程において自分にとって重要な大人のようになりたいと、真似をすることなどは、成長を促す推進力とも捉えられる。
しかし、相手との境界線がない状態なので、相手と自分が同じものと錯覚し、勘違いが続くことになる。
退行…(未熟な自分を取り入れる)現在の状況より、もっと未発達な段階に逆戻りすること。「子ども(赤ちゃん)返り」の状態。
欲求が満たされない不安を解消し、満足を得ようとする行動。
例えばゲームなどで子どものようにはしゃいだり、恋人に甘えてみたりする行動は、自発的な想像力が高まったり、自我の律性を育てるものとして、健康的行為とされている。 |
【まとめ】防衛機制をはずすこと・これからカウンセラーを目指す方へ |
人は、柔軟性のある防衛機制なら、社会生活を送る上では健全な心理作用といえます。
しかし、防衛機制とは「自分の姿を直視しないようにするこころの働き」なのです。
真の自分の姿を潜在意識(無意識)の箱の中に閉じ込め、何もなかったように扱えば、それは結果的には病的な症状となったり、性格的な偏り、あるいは特殊な人格構造となって、日常生活にさまざまな支障を起こすようになるのです。
なので、苦しみや悲しみは、無理やり気持ちを押し込めたり、なかったことにしてしまうのではなく、意識して、そして柔軟に「防衛機制」と付き合っていくことが大切です。
なにより、「防衛機制」とは臨機応変に社会を生き抜くための必要な道具であるのです。
また、カウンセリングでは真の自分と向き合う必要があるため、クライアントの防衛機制を外していかなくてはならないときがあります。
しかし、そのクライアントの防衛機制が強すぎたり、なかなか外れないときが多々あります。
そんなときは、無理やり聞き出したりせず「今は外したくないんだな」という姿勢を受け止め、とことん傾聴していくことです。
童話の「北風と太陽」というお話しにも出てくるように、風をビュービュー吹かせても「コート」という防衛機制を着込むばかりです。なのでカウンセラーはポカポカ太陽のような安心を、クライアントに抱かせることが大切です。
そしてクライアント自ら心を開いていくという状態が理想です。
「潜在意識」を「顕在意識」に上げていくこと、それは自ら「気づく」ということにつながっていくでしょう。
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お読みくださりありがとうございました以上marupoでした